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この《個人情報チップ》とは、この衛星を最初に訪れた時、一人の例外も無く左腕に埋め込まれ、その人間の名前・年齢・性別等の情報と一緒に、この衛星の何処にその人間がいるかという情報や今現在の健康状態などをここの管理コンピュータがチェックするものだそうだ。
実際、午前中の作業体験プログラムや宿舎の出入り、迷子になった時などわからないようにチェックされているらしい。
(今回、初めて意識して使ったな……。)
正面の液晶画面に文字が表示される。
〔氏名:中島稜
性別:男
年齢:10歳
この情報が正しければ[確認]を押して下さい。もし違っているなら[管理センター]を押して下さい。〕
僕はためらわず[確認]を押した。
画面が変わった。
〔《顔検索システム》を起動させて自分の血族を探しますか?〕
(他に何ができるんだよ!?)
僕は苦笑した。
[YES]
〔《顔検索システム》起動します。〕
……ブーン……
微かな機械音を響かせて、画面が変わり出す。
やがて、画面の中央に卵型の点線が浮き出して来た。
〔点線内で囲まれている中に顔を映して下さい。映りましたら[OK]を押して下さい。〕
僕は鏡のようになった画面に自分の顔を映して[OK]を押した。
〔左右と後に検索用サーチシステムが起動します。動かずそのままお待ち下さい。〕
……シュッ……
……シュッ……
……シュッ……
平たい板のような装置が僕の周りを囲んだ。
〔自分の顔のパーツで両親どちらに何処が似ていると思うか。項目ごとに入力して下さい。わからない場合は[不明]と入力して下さい。〕
僕は画面に映る自分の顔をジッと見ながらひとつひとつの項目に入力して行った。
『稜と私の似てるとこ?髪質は完ぺきに一緒でしょ。後は耳の形とか、口元とか……』
記憶の底から母さんの声が甦る。
『ちゃんと似てるでしょ?親子なんだから!当然なんだから~!』
(母さんはそう言うケドね、他の人はそこまで認めてはくれないんだよ……。)
僕は入力作業をしながら今まであった事を思い出していた。
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