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『何でいつもそうなるのっ!?
お酒ばっか飲んで!!
私ばっかり働いて…』
――パシンッ
『ったく…ぅるせぇババァだなぁ ヒック』
(また喧嘩…
もぅいい加減にしてょ…)
最近の家は喧嘩ばかり…
父は働かずお酒ばかり飲んで
母は父のせいで働きづめ…
『奈々ぁ~
酒買ってこい!!さぁけっ ヒック』
ダンッ!!
「…-もぅ!!
お父さんいい加減にして!
こんなにお母さんを苦しめてお酒飲んで何がそんなに楽しいの!?」
『…奈々っ!!やめなさい!』
悲しいような
消え入るような声で母は言った。
あそこで黙ってお酒を買いに行っていれば、私は光を失うことは無かった…
けれど、もぅ我慢の限界だったんだ。
『なんだ、奈々?親に向かってその口のききかたは?何様のつもりだ?』
「…るさいよぉ」
『あぁ?物事はハッキリ言えっつーの ヒック』
「うるさいょ!!あんたなんか…
あんたなんか親でも何でもないよぉ!!
酒ばっか飲んで…」
――ザクッ
何が起きたのか…
そこからはもう記憶が無いんだ。
ただ覚えているのは
母の悲痛な叫び声と真っ暗な世界…
ズキズキと感じる目の痛み…
あの日…私は
実の父から光を奪われた…
だから私は許さない…
父を…許さない。
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