気持ち。

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家に着くと奈々とあかりはまだ来ていなかった。俺は部屋を軽く片づけて2人が来るのを待った。 ――ピンポーン 『来たあぁぁぁぁぁあ!!』 竜也の叫び声にビックリしながら俺は走って玄関まで急いだ。 ――ガチャ 『さみぃだろ?入れ入れ』 「『おじゃましまぁす』」 『いいよ、挨拶しなくて。親居ねぇし。居ても挨拶なんかいらねぇヶド』 親なんて… 俺は親と血が繋がっていない。 小2の時母が他界。 それを待っていたかのような父の再婚。 その父は中1の春に事故…。 そして義母の再婚。 俺に親なんて居ない。 義父も義母も嫌いだ。 ここに住まわせてもらっているだけ“不幸中の幸い”てヤツだ。 ――ドタンッ!! 「イテテテテェ…」 『奈々!!大丈夫!?』 余計なことを考えていると、奈々が玄関の段差に躓いて転んだようだ。 「うん!平気!!」 『…ま、まじ焦ったしィ~…って奈々!!パンツ丸見えだぞ!!』 転んだ拍子にスカートがめくれていた。 焦ってスカートを直す奈々。 「ご、ごめん、敬!!」 見てしまった俺が悪い。 『いや、大丈夫!!部屋、あかり連れてってやれ。 俺飲み物とって来る。』 それから俺は、奈々が気を遣うといけないから普通に接してやった。 気まづくなるのは嫌だったから…。
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