《回想》 気になるアイツ

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私は、クラスの中で、最初に仲良くなった友達、神崎 麻理【かんざき まり】にテニス部に誘われて、一緒に入部することにした。 私が、テニス部に入部したその日に、顧問の谷川先生と話をしていた時だった。 谷川先生は、テニス部と陸上部の顧問を掛け持ちしてたから、アイツが谷川先生の所に来たのだ。 アイツは、今日のトレーニングについて聞くと、部活に戻ろうとしていた。 その時、谷川先生が、アイツを呼び止めた。 『あっ、おい!!早乙女!!』 谷川先生に呼ばれて、アイツが戻ってきた。 『はい。何ですか!?』 『ここにいる咲坂が、陸上部のマネージャーをしてくれることになった。 色々準備することを教えてやれ!!』 《はっ!?どういうこと!?私が、陸上部のマネージャー!? 何で!?私は、テニス部に入ったのに…!!》 『ちょっと、先生!?私は、テニス部に入部希望なんですよ!? 何で、陸上部のマネージャーをしなきゃいけないんですか!?』 『ちょうど、マネージャーがやめてしまって困っていたところだったんだ。 顧問は俺だから、ちゃんとフォローはするから、 代わりのマネージャーが見つかるまで、掛け持ちで頼むよ!!』 『そんなぁ!?掛け持ちって、無茶ですよ!!』 『新しいマネージャーが見つかるまでだし、頼む!!この通りだ!!』 谷川先生は、そう言うと、頭を深々と下げてきた。 『分かりました。で、何をすればいいんですか!?』 私は、渋々OKした。 すると、谷川先生は、ニコニコ笑いだした。 『じゃあ、早乙女!!咲坂のこと、頼んだぞ!!』 『はい。分かりました。 じゃあ、行こうか?咲坂さん。』 『あっ、はい。』 私は、複雑な気持ちでアイツについていった。 そして、これが、私とアイツの初めての会話だった。 アイツの名前もその時初めて知った。
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