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私とアイツが、職員室を出ようとすると、また、谷川先生が、アイツを呼び止めた。
『そうだ!お前、電車通学だったよなぁ!?』
『ああ、はい。そうですけど…。』
『咲坂も電車通学だから、帰りは、絶対に送ってやること!!分かったな!!』
『はい。分かりました。それじゃあ、失礼します。』
私は、アイツとの初めての会話に少し戸惑いながらも、
自己紹介をしつつ、これから、何をすればいいのか問い掛けた。
アイツの名前は、早乙女 悠司【さおとめ ゆうじ】。中学の時から陸上部に入っていたらしく、短距離と走り高飛びを主にやっているらしい。
『咲坂さんは、どうして、テニス部に入ろうと思ったの!?』
『えっ!?私!?私は、友達に誘われて入ることにしただけなんだけどね。
まさか…陸上部のマネージャーと掛け持ちになるなんて思いもしなかったよ!!』
私が、そう言うと、悠司は、優しい笑みを浮かべた。
『大変かもしれないけど、無理しないようにね!!
俺も、できる限り、フォローするし、何でも言ってよ!!』
私は、アイツのその笑顔と優しさに、完全に惚れてしまっていた。
でも、まだ、この時は、別の人と付き合っていたし、何も言わなかった。
『ありがとう!!早乙女くんて、優しいんだね!!』
『そんなこと…ないよ…。あっ、悠司でいいよ!!』
『えっ!?そうなの!?分かった。じゃあ、悠司って呼ぶね!!私も、彩音でいいよ!!』
『分かったよ!じゃあ、これからよろしくな、彩音!!』
『うん。こちらこそよろしくね、悠司!!』
私と悠司は、その後、いろんな話をしながら、陸上部の部活してる河川敷まで歩いて行った。
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