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 授業中、彼はいつも机に突っ伏して眠っていた。教師たちも、他がそうであるように、成績不振な生徒として扱うようになった。  ところが、二学期の中間テストにより、そのレッテルは覆されることになる。彼の成績は、学年一位というものだった。  教師たちも驚いていただろうが、誰よりも驚いたのは僕に違いない。なぜなら、彼は僕から僅差をつけてトップの座を奪ったからだ。  普段の様子から、真面目に授業を受けない優秀な生徒として、彼は級友に賞賛された。  運動面でも、彼は常人ならぬ能力を発揮した。走っても跳んでも投げても、校内で彼にかなう者は誰一人としていなかった。  彼は、あらゆる面で完璧な男だ。性格、人望、学力、身体能力、全てにおいて、僕に勝るとも劣らない。  僕は、産まれて初めて、嫉妬や屈辱といった感情を覚えた。彼には常に、まだ本気を出していない、まだ上手くやれるという気配が漂っている。それが嫌で仕方なかった。
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