嘲笑

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 クラス替えが行われたこともあり、彼は休み時間に話す程度の友人さえいなくなった。彼は、休み時間中は窓の外を眺め、授業中は寝るのが習慣になった。  それでも、彼は気にしている様子はまったく見せなかった。むしろ、馬鹿どもから解放されて喜んでいるように見える。  休み時間、僕は級友とつまらない雑談をしている時も、つい彼の方を見てしまいがちだった。彼の視線はほとんどが窓の外の空間へと注がれているが、時折こちらにも目を向け、僕と目があうことがあった。そして次の瞬間、彼は口の端を少し吊り上げる。それは明らかな嘲笑だった。    僕には、その嘲笑の意味が、突き刺さるほどよく分かる。だからこそ、僕は彼を嫌うのだ。彼は僕のことを、おかしな仮面を被った道化のように見ているに違いない。僕にはそれが許せなかった。
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