嘲笑

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 食事が終わった後も、長い間彼らは楽しそうに語り合っていた。  やがて夕日が沈み、全員でそれを眺めたところでこの会はお開きになった。彼は級友に遊びの誘いを受けていたが、笑顔で断っていた。    それぞれが帰路につき始めたとき、僕は級友の一人に、今日は気分が悪かったのかと訊かれた。僕がいつもに比べほとんど喋っていなかったことに気付いていたのだろう。その気遣いが更に僕を傷付けた。    そんな僕を尻目に、彼は級友たちと楽しく語らいながら帰っていった。日は既に沈んでいたはずだが、彼の影は後ろに大きく伸びているように見えた。  今まで立っていた丘からは、僕を追い払うかのように力強くヒグラシが鳴いていた。
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