混乱

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 夏休みが終わり、二学期が始まった。彼がこの学校に来てから、そして僕の生活が狂ってから一年が経ったことになる。    彼は、あの悪夢のようなクラス会のおかげで、クラスの級友たちとすっかり馴染んでいた。彼を誘った女子生徒の目論見は、見事に成功したと言えた。消滅していた彼と僕の親友関係も復活し、また息苦しい思いをしながらの生活を強いられることになった。去年とほとんど同じ状態になったということになる。    だが今度は、クラスや学年が分かれるということはなかった。級友たちも精神的に成長したということだろう。彼の真似事をしようとする馬鹿も、ほとんどいなくなった。    夏休みを挟んだということもあり、彼に関する悪い噂は解消されていた。本当なら、僕はまた別な噂を流すつもりだったが、それも目的を果たさなくなったのでやめにした。何より、そんな小細工で彼に勝とうとした自分という人間の小ささに呆れた。
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