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そのような状態だったため、僕は転校しても新しい友人を作れなかった。相手が近づいてきても自ら拒絶し、孤独を保ち続けることに従事した。周りの者はそんな僕に呆れて、やがて僕に構うことを諦めてしまった。
そこには悪意も存在せず、周りの者はただ僕が作り出す虚無な空気に呑まれているだけだった。それは僕にとって張り巡らされた警報装置のような物であり、僕は決してそれを解こうとはしなかった。
前の学校とは違い、居場所すら存在しない僕には、居心地の悪さを感じることはなかった。何の辛苦もなく、むしろ生活を楽しむような余裕も生まれた。
学校で僕が口を開くことは滅多になく、休み時間は専ら級友を観察していた。何故他の人間に嫌われることを恐れないのか。何故他人に対して感情を剥き出しにできるのか。疑問はいくつもあった。だが、それらを解決する糸口は必ず存在する。全てを理解したとき、僕は再び他の人間と交友を持ちたい。僕はそれを熱望し、仮説と疑問を重ねて模索し続けていた。
やがて僕は、「仮面」の存在という結論に達した。
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