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 とにかく、図書館で彼女が彼に会えればその後も順調にことは進むだろう。あれだけ慣れさせたのだから、彼に会えた際もただ話すだけに終わるはずがない。それに彼女には、彼に会った際には無理のない程度に外出を誘うよう指示してある。  これから彼がどうなるかは、あの女子生徒次第だ。僕は彼と彼女が上手くいくことを期待しながら、しばらくの自由な休暇を満喫した。    僕の休暇中の活動は、ただ学校に通うよりはよほど有意義なものだった。勉強は独学でできる。生活習慣も変わらない。こうしていると、自分が学校に通い、くだらない日々を送っている理由が分からなくなってくる。目標を見失い、彼の存在すら忘れそうになることもあった。だがそれは結局ただの錯覚に過ぎず、ふとした拍子に彼のことを思い出し、鼓動が早まった。そのたびに彼を恨めしく思った。
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