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「…で?俺達はお前のおフザケで犠牲になったのか…?」
ドスのきいた声でフォルクスを睨み付ける男。その顔には右頬に大きな刀傷が残り、ざんばらな金の短髪と切れ長だが、目つきの悪い青の瞳に無精ヒゲなワイルド過ぎる容貌。体格も良く、背も高い。そんな男に上から睨み付けられてもフォルクスは無視してサディアを見ていた。正しくは、その手にある解毒剤だが。
「まあ、そういうことだね。アレ結構苦しかっただろ?シェイ」
シェイと呼ばれた男は大きく笑った。しかしそのままフォルクスに掴みかかって体を揺する。
「苦しいなんてモンじゃねえ!なんだよ、アレは!熱が出て苦しいわ、媚薬効果でヤバくなるわ、本能に任せてスッキリしようと思ったら突然頭が痛くなる!…しかし、ソレよりも辛いのは…っ」
シェイがフォルクスの体を離して両腕で体を抱きかかえた。
「オトコに襲われそうになったことだろ?」
「ああっ!?言うんじゃねえ!!…って何でお前が知ってる?」
「君達は実験体だから様子をハエ型盗聴器(撮影機能付き)で見てたよ」
「ああ!そうだよ!!…全くあんな鳥肌の立つ思いをしたのは生まれて初めてだ!俺はカワイイねーちゃんとしかヤリたくねーんだよ!それどころかヤローなんて!ああぁ、虫酸が走る~っ!!」
再び自らを抱きかかえたシェイはガリガリと体を引っ掻き始めた。そんなシェイをちっとも気にせずにフォルクスは笑っている。
「襲ったのってアル?」
「んな事知るか!服脱がされる前にぶん殴って気絶させて…そこで俺も気絶したんだから」
険しい顔のシェイを見てフォルクスはクスクスと笑う。
「ふーん…でもシェイはすごいね~大体は高熱と頭痛で動けなくてそのまま倒れてるのに、君くらいかな?動き回ったの」
「それはもういい!サディアの嬢ちゃんはどこだ」
「私はここですが?」
シェイががなるとサディアはどこからかスッと現れた。
「ディア、みんなに解毒剤飲ませ終わったんだな。お疲れ様」
「いえいえ、潰されるとわかっていながらこんな薬を作った貴方様に比べたらこのくらいは当たり前でしょう?」
「ディア怒ってるのか?」
どこかしおらしいフォルクスに
「当たり前だ!」
とツッコんだのはシェイ。
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