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「俺にも情状酌量の余地はあると思われる」
自信たっぷりに言うフォルクスの顔がぶっ飛んだ。再びサディアの後ろ回し蹴りがフォルクスの顔にクリーンヒット。使用人二人からは拍手喝采の嵐。
「さて、余計な輩が入ったが茶会を続けようか」
サディアが前を振り返ると待ってましたと並べられた菓子の数々。
「こんなこともあろうかと用意しておきました!サディアさん、お茶のおかわりいかがですか?」
「戴こう」
「嬢ちゃんの好きな和菓子や羊羹もあるぜ!和菓子は俺様特製だ!」
「有り難いな。では早速」
「「「いただきまーす」」」
三人は再び優雅な茶会を始めた。最早シカトされている一番悪いハズのフォルクスがかわいそうになってくるくらい楽しそうだ。
「ディア!お前はいつからあいつらをたらし込んだんだ!?主人の俺よりよっぽど対応がいいじゃないか!」
「それは貴方がロクな事をしないで下らん事にばかり手間暇かけているせいでしょう。それに彼らは私と同じ貴方の好奇心の為の被害者ですから」
今度はローズヒップの紅茶を口に含みながら当然と如く答える。
「シェイ!ミリア!!お前たちは俺とディア、どっちに従うんだ!?」
「サディア(さん・嬢ちゃん)」
まさに即答。フォルクスが理由を聞くと
「だって…なぁ?サディア嬢ちゃんは正しいし、お前よりよっぽど主人っぽいしな。きっとみんなそう思ってるぜ?」
「そうです!サディアさんは使用人皆の憧れなんです!どうしようもないフォルクス様を唯一従わせる事が出来て、仕事も的確だし、フォルクス様の毒牙から一生懸命私たちを守ってくれているんですもの!!」
最早何も言えなかった。
しかし、そんなフォルクスを庇ったのはサディアだった。
「お前たち、少し言い過ぎだ。フォルクス様にも一応プライドはある。それにこんなイタズラをしない時は立派に主人と誇れる方だと私は思っている。」
「ディア……」
「しかし、二人の言うことも的確だ。その辺りは私が教育し直そう。たっぷりと、忘れられないようにな…。」
くくくっと笑うサディアはとても嬉しそうでとても恐ろしかった…。
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