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――――――
旧校舎の側の桜の木の影でポツンと立っている少女が一人居た。美帆である。
彼女はその事の一部始終をしっかりと見ていたのだ。
やっぱり。そんなことだろうと思ったわ…。
翼の馬鹿、入らないって約束した癖に。
このままだと旧校舎に入っちゃうなあ、止めるしかないかな。
しかし、彼等は止めてもそれを振り切り中に入るに違いないのだ。
仮に中に入ってしまったら注意する側として中には入らないべきか、それとも彼等に何か起こらないように追いかけるか…
そのどちらの道を選ぶのか美帆はまだ決められないのだ。
生徒会長としての立場は、入らずして止める事、しかし、一個人としては一緒に探索したい気もするのだ。
我ながら矛盾しているな、と自嘲気味に自分に突っ込んだ。
どちらの手段を取る予定にしろ、このまま放っておいてはいけないはずだ。
美帆の中で何かがそう警告しているのだ。
これから何かが起こりそうだと、彼等をこのままにしては危険だという警告が。
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