揺らぐ心と新たなる思い

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聞こえたのは、氷の様に凍て付いている声だった。 それが聞き慣れたものだと、ティエラはすぐに分からなかった。 「ラフェル・・・」 視線の先にいるのは、衣服を整えてすらいないラフェルだった。 メイザス伯爵は、現れたラフェルを見て、酔い痴れたような笑みを浮かべる。 「貴方が、王太子殿下ですか」 「そうだ。 イズー・メイザス伯爵」 メイザス伯爵の本名を口にしたラフェルに、ティエラは違和感を感じた。 「お知りとは・・・。 もう目をつけられていたのですかな?」 「違う。 自国が併合した国の貴族の名くらい、全て覚えている。 ましてや、自分が滅ぼしたのだし・・・」 自嘲気味に呟くと、メイザス伯爵を含めた男達が感嘆したように息を吐く。 「ご立派です、貴方も。 本当の王太子ならば・・・」 意味深な言葉に、ティエラは不快感を露にする。 ラフェルは淡々としたまま、1歩前に出る。 「戯言は要らない。 さっさと消えれば今回は見逃してやる。 消える意思がないのなら、覚悟をしろ・・・」 宣言し、剣をゆっくりと抜き放つ。 煌めく白刃とラフェルの尋常でない気迫に、メイザス伯爵以外が戦慄する。 「・・・偽りの人形ごときが」
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