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視線を下げれば、息も荒く床に倒れ伏すラフェル。
思わずその肩を揺らす。
「ラフェル!
おいっ!
・・・クソッ。
どうすればっ!?」
「伏せろっ!」
ガッシャンッ。
窓を突き破って現れたのは、1つに編んだ長い髪をなびかせたユアンだった。
「ユアンッ」
「自分で動けるな?
なら先に行け!
外にセレオがいる」
切羽詰まったように口早に言われ、ティエラは急いで窓から外に出る。
言った通りにセレオがいた。
すぐ後ろから、ラフェルを抱えたユアンが転がり出て来る。
「ユアン。
ラフェルは?!」
「大丈夫だ。
気を失っているだけだ」
どう受け身を取ったのか、ユアンは草と土だらけだが、腕に抱えたラフェルは汚れていなかった。
「セレオ、ユアン。
・・・ラフェルは、誰なんだ?
王太子じゃないのか?」
困惑したティエラの問いに、ラフェルを案じていた2人はビクリと肩を震わせた。
ティエラを振り返り、言い逃れは不可能だと知り、溜め息をつく。
「・・・ティエラ、今はラフェルを寝かせてやりたい。
話は戻ってから・・・コールが話す」
苦しげな言葉に、ティエラは頷かざるを得なかった。
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