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次代の国王、ラフェルと双子の妹であるラシェアは11になる。
11になれば、縁談が山のように来る。
特に、国一の美姫と謳われた母である王妃に瓜二つと言われるラシェアには、毎日のように縁談の山が築かれていた。
「・・・こんなに持って来られても」
困ったように息をつくラシェアに、ラフェルは苦笑する。
「しょうがないよ。
それが、王族の役目でもあるんだから」
達観したように頷くラフェルは、武勇とは程遠い少年だった。
少女のように華奢で、1部の貴族に『双子姫』と揶揄されるほどだった。
だが、ラフェルは頭が良かった。
穏やかな人柄は人望を集め、慈悲深い微笑みと行動は民に指示された。
しかし、有能と言うべきなのは、ラシェアの方だった。
文武に秀でるラシェアを推す貴族もわずかにあり、そうでなくとも地方貴族からは強い人望があった。
その筆頭は、『眠れる獅子』とも称されるティカド伯爵だった。
彼自身には、ラシェアを王にしようと言う目論見はなかった。
しかし、周囲はそれでは納得しない。
結果、2人の有能な王族を取り巻き、勢力が分裂したのである。
仲のよい双子に降り懸かる悲劇の、これが始まりだった・・・。
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