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セレオとコールは内務省に仲良く(?)配属された。
だが、部署は全く違った。
セレオは政務を取り仕切る執政部に。
コールは王族の側近くにあって実務を補佐する侍従部に。
やる事は同じ様に思えるが、その振り分けは、身分を見たものだとすぐに分かる。
高位貴族であるコールは王族の側に控え、出世しやすい部署に入れられたのだ。
これに対して、当のコールは不快を素直に表した。
「・・・ざけんなよ」
「コール、抑えて」
不穏に呟いたコールを、セレオが諫める。
「・・・仕方がない。
今は研修だから、終われば希望通りになるかもよ」
励ましつつ、セレオは部署に向かう。
コールは嫌々ながら向かうと、更に嫌な気分になった。
「おぉ、レックリーオ家のコルガス殿。
良く来られた。
国試では第1位だったとか。
お父上はお元気ですかな?」
「・・・ええ、まあ、それなりに」
何とかうんざりした内心を隠すのに成功し、大きな舌打ちをした。
侍従部を統括している侍従長は、コールの父親の力のおかげで出世したようなものだ。
それを思い出し、何故自分が侍従部に配属されたのか、コールは理解した。
つまりは、株を上げたい為に、利用しようとしているのだ。
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