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と、お姉さんは益々困惑顔で。
何故か逃げもせず、大して驚きもせずにその手榴弾を見詰めている。
「人間も壊れると良い!!」
更に手に余る程の手榴弾を出して見せる、と。
そこで初めてお姉さんが慌て始めたのだけれど、もう遅いかも知れません。
急にこの土地の観光名所を壊したくなる衝動に駆られる私。
呆気に取られるお姉さんを放っておいて、更にクラッシャーの帰りも無視して走り出す。
欲しいのは優しかったお姉さんの温もりだ。
見たいのは、優しかったお姉さんの笑顔…。
身体中に傷痕が残る私、それ以上に…心が痛い。
涙が風にさらわれて、後方へと零れていく。
「……人間も、壊れると良いんだ…」
走りながら呟く私、これは心からの意見。
醜い人間がいるから、辛い思いをする人間がいる。
だったらそんなもの、なくしてしまえば良い。
…だから。
「世界を壊すんだ…」
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