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ゼルス大陸の森の中ジェラルド兵に追われる二人の少年の姿があった。
一人は赤い髪の剣士アルス、もう一人は黒い髪の魔導士フォルツ。
「ちっ、しつこい奴らだ」
アルスはうんざりという顔で言った。
ここ一ヶ月、何度かジェラルド兵に追われていたからだ。
「どうする?」
フォルツはアルスに尋ねる。
「返り討ちにしてやろうか」
アルスは鼻で笑いながら言った。答は解ってるからだ。
「まあまあ、ここはやっぱ撒こうぜ、これ以上しつこいのは嫌だしな」
「なら聞くなよ」
「まあ一応聞いとかないとな」
フォルツはそう言うと、追ってくるジェラルド兵5人に杖を向けた。
「ファイアーシェル!」
ファイアーシェルは攻撃系の炎、氷、風、雷、光の内の炎の下位呪文だ。
フォルツの杖から火球が飛び ジェラルド兵の足下に落下する。
そして爆音と共に煙が立ち込める。
しばらく経ち煙が薄れるころにはジェラルド兵は二人を完全に見失っていた。
森の片隅、切蕪に腰をおろすアルスとフォルツ。
「それにしても妙だな、たかがお尋ね者二人を捕まえる為に国外の大陸まで追ってくるなんて」
「だいたいお前が悪いんだぞ」
アルスの言葉を聞いて後ろめたそうにフォルツは言った。
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