序章 赤き剣士と黒き魔導士

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フォルツはそれを見てホッと肩を下ろす。 アルスはチッと舌鳴らしをし、不満気に背中の鞘に剣を収める。 「いやあさすがジェラルド兵さん。心がお広い」 フォルツは手をこすりながら言った。 「ふん、ヘラヘラしやがって腰抜けが。腰抜けはとっとと消え失せろや」 一人のジェラルド兵がフォルツに酒をかけた。 「いいかげんに」 アルスは再び剣に手をかけようとした。 「いいんだアルス。さ、さあ、そろそろ、で、出ようか」 フォルツは苦笑いをしながらアルスの肩を叩く。 「そういやお前さっきフォルツとか呼ばれてたよな?大魔導士の名前なんて名乗りやがって。そっちのガキが剣聖目指してて、お前は大魔導士でも目指してんのかよ?とんでもない二人組だなあ」 それを聞いて店中のジェラルド兵が笑う。しかしフォルツは一緒に笑っていた。 「特にお前、そんなヘラヘラ、ひょろひょろしたなりで胡散臭いジジイ目指しちゃうってもはやギャグだなー。どうせガキの火遊び程度の呪文しか使えないんだろー?」 ジェラルド兵達は更に笑う。しかしフォルツはもう笑ってなかった。 「だったらガキの火遊びかどうか体験してもおうかなあ」 ジェラルド兵に向けて杖を構えるフォルツ。
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