一章 魔物の影

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それからしばらく歩き森を抜けると小さな村が見えた。 そこは周りが自然に囲まれていて、小さな民家が十軒ほどある喉かそうな村だった。 ジェラルド兵達も追ってくる気配は無く、二人はホッとした様子で歩く。 「やっと休めるな、腹も減ったしとっとと行こうぜ」 フォルツは村に向かって走り出した。 「おい待てよ、全くガキみたいに」 不満をこぼしながらアルスも後を追う。 アルスは村に徐々に近付くにつれ、その異変に気付いた。 「待て、何か変だぞ?」 真剣な表情になるアルス。 「おいおい、ここまで来て冗談はよしてくれよ」 それを見てフォルツはキョトンとした表情になる。 「人の気配がしない」 「そうか?」 「とにかく行ってみるぞ」 「お、おお」 二人は村に向かって更に走る。 そして村に着いた二人は恐ろしい光景を目にする。 村のあちこちに村民のものと思われる亡骸がいくつも転がっていた。 「こりゃあひどい」 フォルツは嘆く。 見たところ死後数日は経っており、全ての死体に目立った外傷は無い。 頸動脈を切られたのだろう、首に大きな切り傷がある以外は。 そして辺りには先端が二つに別れた足跡が無数についていた。
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