冷たき少女

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「おいサヤ、遅刻だぞ。今日は新人がくる日だから遅刻はするなと言ったはずだ」  部屋に入るなり低く印象深い声が響いた。声の主は黒く伸ばした髪を後ろでひとつ結わいており、多少口髭を貯えている。いわゆるおじさんだ。  「…………すみません」 「まぁいい、まだ新人も来てないしな………ん?」  やばい。目が合った。多分新人って俺のことだ。 「お前新人か?」 「………はい」 「遅刻だ」 「………すみません」 「………これからは気を付けろ」  そう言うとおじさんは俺から目を離した。  目が合っている時感じた威圧感、多分相当な実力だ。 「おら新人、ボケッとしてないで挨拶しろ。」 「あ、はい。新しくこの隊に入ることになったジーンです。よろしく」  そう、俺の名前はジーン、銀髪にグレーの瞳のいたって普通の男だ。まああまり怒ったりはしないね。怒るくらいなら昼寝してるかな。  自己紹介を終え、改めて部屋を見回すとおじさん以外に三人テーブルを囲んで座っていた。
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