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「それって、どんな事が出来るの?」
アスタルは、考え込むようにして…
『う~ん、俺に当たり前でも、君に出来ない事か…傷を直すとか、体が丈夫なるとか、色々かなぁ』
「傷を直したり、体が丈夫になる。それが、本当ならすぐにでも、力が欲しい」
僕は、すぐに答えを出した。
『アッ、でもね。タダと言う訳じゃないんだよなぁ』
アスタルはニヤリと顔を歪めて笑っていた。
「もしかして…僕の魂を刈るとか?体を食べるとか?かな」
…と思った事を口にした。
『そんな事はしないよ。ただ君と融合したいんだ。君が死ぬまでね』
「それが条件?」
拍子抜けした。
一生悪魔に仕えろとか言われると思ってた。
「融合すると、僕の意思はどうなるの?消えるの?」
『大丈夫。俺と考え方が似てくるだけだよ』
ふぅ、良かったぁ。融合しても、僕は変わらないのか。でも…
「それは、本当に大丈夫なの」
怖くなって聞いてみた。
『君が疑ってるのは、無理ないか。君にコレを渡して置くよ。』
手渡された物は、小さな黒いダイヤだった。
それは、俺の心臓みたいな物だよ。
アスタルは、そう言った。
俺がウソをついていたのならソレを壊してくれ。
ソレが壊れると俺は、この世界から追放される。
つまり、アスタルの弱点と考えていいだろう。
試しに落とす振りをすると、アスタルは必至で取ろうとした。
『危ないなっ!!何をするつもりだい?』
ふ~ん…
どうやら本当らしい。
「分かったよ。アスタル。僕は君の力が欲しい」
『分かった。本当にいいんだね。じゃあ、目を閉じて』
そう言って、僕の目をつぶらせた。
グシャァアアっ!
次の瞬間に僕は、余りの痛みに目を開いていた…
アスタルの手刀が僕の心臓を貫いていた。
「ゴプゥ…だっ、騙したな…アスタル!」
口から声が出ずにうっ~っとぐもった声しかでなかった。
『騙した訳ではないよ。これは、儀式なんだ。俺と君との血の契約のね。安心して眠るといい。起きたら、君は…』
最後の言葉が聞き取れずに僕の意識は遠のいていった…
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