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ガルムは、湖のほとりで目を覚ました。
昨晩の事はどうなってるんだ?
胸には傷も無いし、すべて夢だったのか?
「あっ!あれ、潰れてた左目が見える?それに、体の傷がないぞ?傷が治ってる…」
今になって、初めて気が付いた。
アスタルが治したのかな。
とりあえず、何をしていいか分からず。
しぶしぶ家に帰ることにした。
家に帰る途中に村の奴等会った。
カエルがひっくり反ったように驚いている。
なんたって、僕の傷が無くなってるいるのだ。
『「ハッ、驚くのはこれからだぜ」』
僕は、口を抑えた。
まるで、アスタルが話しているように僕が喋っていたのだ。
家に帰り、部屋に籠っていた。
アスタルは、僕と融合したのか?
一体どうすれば、アスタルの力が使えるのだろう。
そうこう考えている内に夜になった。
僕は部屋から出ると、ベン爺さんと数人の村の奴等が待構えていた。
何も変わらない夜…
虐待が続くのか?
今日も、代わる代わるに殴られ続けるのだろう。
『ん?コイツ、どうやったんだ。傷が全部無くなってるぞ』
一人が少し怯えていた。
『へっ、気にするなよ。また、傷つけられるんだ。いいじゃないか』
とベン爺さんが言った。
僕は今日は何故か、落ち着いていた。
「どうして、僕を殴るのさ」
僕は初めて抵抗の意思を見せた。
『あっ?ガルム。お前はいつから、文句が言えるようになったんだぁ』
そう言うとビールの瓶で、僕を殴ろうとしたので、スッと半身をずらして瓶を避けた。
遅いっ、ハッキリ言って、こんなのも避ける事が出来ないなんて。
なんて、マヌケだったんだ。
『ガルム~、お前ら、抑えとけ』
ベン爺さんがそう言うと、村の奴等が僕を押さえ付けた。
バッキィ!
容赦なく殴り付けて来た。
「痛ッ、憎い憎い憎い。こいつらが憎い」
すると、フッとアスタルの声が聞こえた。
『ならば、殺しちゃえ。今のお前なら出来る。剃刀のようなお前の手で…ヤってやれ』
その瞬間に俺を押さえ付けた奴は吹っ飛んでいた…
ベン爺さんも他の連中も俺の異変に気が付かなかったのだろう。
『ははははっ、あははっ』
心の底から笑っていた。
「なんだ…狂ったのか。おい、起きろよ。押さえ付けろよ」
俺が吹き飛ばした村の奴は目を覚まさなかった。
「おいっ、息してないぞっ。こいつ」
そこにいる全員が俺の方を見てきた。
『当たり前だよ。何故息してないかって?首の骨を折ったからなぁ!』
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