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「ごめんくださーい、ここってぇ、何か食べ物とか置いていますー?」
妙に間延びしたイラつく声が地獄の門の中に響き渡った。
……嘘だ……
僕は呆然と声の主を見つめた。
年は17、8。
やや長い青い前髪をかき上げながらソイツは僕の隣に腰を下ろした。
顔はなかなか整っていて、10人いれば8人は美形だと言うだろう。
髪と同じ青い瞳をキョロキョロさせて店内を物色しているようだ。
背中にやたら大きな剣を背負っていて、見たところ剣士か何かだろうか?
「いらっしゃい。一応食べ物も置いてあるよ」
ガイが妙に嬉しそうだ。
僕はつい数分前の自分を呪った。
まさか、こんなアホそうなヤツに付いて行く事になるなんて。
ソイツはよっぽど腹ペコなのか、ナイフとフォークを掴んだまま離さない。
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