おとしもの

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放課後の部活が終わり,Aはいつものように自転車をこいで家にいそいでいた。 途中に木がうっそうとしげった墓地がある。その前を通り抜けようとした時,道のわきに財布が落ちているのが目に止まった。 すぐ自転車を止めて財布を拾ったが,薄気味悪い場所だったので中も見ないでポケットに押し込むとまっすぐ家に帰った。 自分の部屋に入ると,早速財布を取り出した。女ものの白い財布。 中をのぞいてびっくりした。小さく折った一万円札が四枚も入っていたのだ。 「まさかこんな大金拾うなんて!!」 Aはすぐ警察に届けようと立ち上がった。 ところが,心の片隅で 「待てよ,四万もあれば欲しいものが買えるぞ」 と悪魔の囁きが聞こえてきた。届けようか,どうしようか,しばらく迷っている間に 「いいや。黙っていれば分かりっこない」 と思うようになり,自分のものにしてしまった。
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