魔導師の予言

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 しかし彼女にとってそれは大した問題ではなく、それまで以上に剣術や体術などに磨きを掛けていったのだった。  グロリアは入隊後、当時討伐隊内最強と呼ばれた女隊長リュミレス率いる部隊に配属された。  そしてリュミレスがとある事情で討伐隊を辞めるまで彼女の片腕として働き、その後隊長を勤めるようになったのだ。  アールやグレスとは入隊以来の付き合いで時々魔物の討伐を供にすることもあり、お互い信頼して戦っている仲だった。  そんな仲だからこそアールはグロリアの気性をよく知っていた。  怒らせるととても怖いのだ。  女だからと言って侮ってはいけない。  グロリアはその細い体のどこにそんな力があるのか、自分の身長の何倍もの体格をした魔物を一撃で倒してしまうほどの力量を持っている。  そして、それは魔物だけに向けられるものではないことも、もちろん知っていた。  過去……まだグロリアが討伐隊に入隊して間もない頃、何も知らない討伐隊のある隊員がグロリアにちょっかいをかけた事があった。  貴族ではないとはいえ良家の娘が最前線で戦う討伐隊に入隊することは珍しく、からかいの対象となったのだ。
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