魔導師の予言

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「そうねぇ。それもいいけど……面白そうだし……でも今回は先約がいるの」 「先約?」  アールとグレスはグロリアの背後にいる人物にはじめて注意を向ける。  そこには黒に近い灰色の外套を被った青年が立っていた。  目深にかぶっているフードのせいで顔自体ははっきりとわからないが、顔の輪郭からこぼれている金の髪と、頬から顎にかけてのラインから整った顔立ちだと見て取れた。  外套の袖から伸びた白い手には魔導師の証である杖が握られ、そしてその手の甲には変わった紋様が印されていた。 「魔導師……か」  グレスが珍しく口を開く。その声は少し驚いているようであった。 「ファータっていうのよ。未来を知る力を持っているのですって」  グロリアよりもやや年上の雰囲気を持った青年は静かにグレスとアールを見つめていた。 「……グロリアが男を連れている。……珍しい」  グロリアとファータと呼ばれる魔導師を交互に見て、アールが真剣につぶやいた。 「何ですって!もう一回言ってごらん!」  その呟きを聞きつけてグロリアがアールを羽交い締めにする。
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