466人が本棚に入れています
本棚に追加
大聖堂から続く廊下をパタパタと走る人影があった。人影は白い大理石でできた柱の続く廊下を通り過ぎる。
誰かを捜しているのか時々周囲を見回している。
「どこに行ったのかしら……」
そう言いながら深紅の髪を掻き揚げた。
人影はグロリアだった。彼女は相棒の魔導師を捜しているのだ。
「意外と足速いんだから……。あ、いた!」
大神殿の出口付近の通路を歩いているファータの姿を捉え追いかける。
「ファータ!……ファータ!ちょっと!待ちなさいよ」
呼び止められて青年は振り返る。
「あぁグロリア。どうしたんですか?そんなに息を切らして……」
先程のグレス達と会っていた時とはまったく違い、人好きのする笑顔を見せながら不思議そうに話す。
「……誰の、せいだと、思って、るのよ」
そこには息を切らして立つグロリアの姿があった。
「誰のせいなんでしょう?」
真剣に聞き返してくるファータを見て、グロリアは半ば諦めの表情をしてがっくりと肩を落とす。
呼吸を整えながら問う。
「さっきのあれは、一体、何?……失礼でしょ」
最初のコメントを投稿しよう!