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「貴方の予見はよく当たると聞いているけど……そんなによく当たるの?」
ファータは薄く笑う。
「そうですね、ほぼ百発百中……でしょうか」
「そう……なの?グレスは……本当に死ぬの?」
グロリアの問いにファータは言葉に詰まった。
「助ける方法は……無いの?」
ファータは困ったような表情を見せ、その顔を見て愚問であったとグロリアは思った。
「私の予見は何があっても的中します。たとえそれが良いことでも、悪いことでも……」
「何があっても……?」
ファータは黙って頷き背を向ける。
「グロリア……人々は自分の未来がどんなものか知りたくて、私の元へやってきます。そして未来を予見する力を持つ私に対して、羨ましいと言うのです。そう言われる度に辛くなります。未来が見えるという事はけして良い事ばかりではありませんから……まして私の場合見えるだけで他に何もできないのですから……無力でしょう?」
ファータは自虐的に笑う。
その様子を見てグロリアは何となくファータの苦しみが理解できた。
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