姫巫女の願い

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 ここはフェアル国・王都グルナ。数年前に即位した年若き女王が治める国である。  国内は内乱など生じることなく平和が続き、王城に隣接する大神殿は古き時代から信仰の中心として栄えていた。  王城と大神殿の周囲には家々が立ち並び、美しい町並みが形成されていた。そして王都の南には豊かな田園地帯が広がり、北には広大な森があった。  大神殿には神官や巫女が多く生活し、この神殿に代々伝わる秘宝に寄り添うように生きていた。  彼らはこの場所で女神に祈りを捧げ、厳しい修行に耐え、女神への信仰を高めているのであった。  彼らの拠りどころである秘宝は女神の石と呼ばれ、その聖なる力でこの国を照らしていた。  大神殿は元々参拝者が多く集う場所であったが、この日は参拝者の影すら見えなかった。  そして、そのかわりかのように多くの騎士達が集まっていたのである。  中には普段、神聖な場所である大神殿とはほとんど縁の無さそうな無骨な者達までいる。その為か、物々しい雰囲気が漂っていた。  彼らは今朝早くに神殿からの使者によって招集をかけられた者達であった。  グレスもその一人である。
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