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「本日、この場に集まってくださった皆様には深く感謝いたします」
柔らかい透き通る声が広間に響いた。春の日の木漏れ日を思い出すような声であった。
しかし、その声は次の瞬間広間にいる騎士たちに衝撃を与えた。
「実は……昨夜、女神の石……『守護石』が、魔物たちによって奪われてしまったのです」
ざわ……と集まった騎士たちはどよめく。信じられないといった様子で言葉を失っている者さえいた。
そしてそれはグレスやアールも例外ではなかった。
数百年の間自国を守護してきた女神の石が魔族の手に落ちたなどと信じがたい話であった。
女神の石は別名「守護石」と呼ばれ、聖なる力を秘めその名の通りこの国を永きに渡り守護してきた石のことである。
この石は女神に愛されし一人の少女の魂と引き換えに得られた物で、女神の理力によって構成されていた。
強い聖なる力を秘めた石はその昔、邪神ディーヴァの魔力を封印したと伝えられている。
守護石にはそれを護る姫巫女がついていた。
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