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エルスタティアの獣人は世界中心の種族だ。
人柄は温厚。
よく働き、誰に対しても平等。
他の種族と共に仲良く生きていこうとする姿勢は大変好ましくどの種にも好かれる。
今日も煉瓦の街をゆうゆうと歩く一人の女性の姿が見えた。
彼女の名前はアルテミシア。
獣人の娘で、利発げな顔立ちに赤銅の毛並み。
アジアンテイストな民族衣装に包まれている。
片手には長い棒を携えている。
彼女が街を歩くと多くの人が彼女に声をかける。
「アルテミシアさん、この前は薬草ありがとね」
「アルテミシア、壊れた玩具なおしてくれてありがとう」
「お姉ちゃん、また遊んでね」
「ああ」
景気良く返事する。
人々の多大な信頼を彼女は知らぬうちに得ていた。
彼女は獣人の集落のなかでも最も偉い地位の者の孫だ。
それだけじゃない。彼女が獣人特有の人をより愛する心をより多く持っているから。
彼女はこの世界の種族が大好きだ。
たとえ嫌われている種族でも彼女にとっては大好きな生きている者だ。
街路を歩いていると露店が見える。
(トウキビがうまそうだな)
アルテミシアは銀色の瞳を輝かせながら色々な露店を冷やかしながら歩いて行く。
のどかな日だ。
ふと、アルテミシアは歩みを止める。
裏通りが何故か騒がしい。
何事かと見に行ってみれば・・。
「これは・・・・・・・」
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