真実の呪い

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真実の呪い

 突然嘘がつけなくなった。  今まで以上に無口になった。  別に話さなくても文字を使えば大丈夫。  そう思ったとたんに文字でも嘘をつけなくなった。  食べたいものを食べる。  やりたい事をやる。  わがままになっただけか?これは  突然衝動が走った。  嘘がつけない。  自分に嘘がつけない。  めいっぱいめかしこみ  わき目もふらずあの人のもとへ走り出した。  気付けはチャイムを鳴らしてた。  あたりはすっかり真っ暗だ。  「…どーしたのこんな時間に」  ねぼけまなこのあなたを見たとたん  たまった言葉があふれだす。  「夜分遅くにすいません。あなたが好きでいてもたってもいられずにやってきました。お願いですから引かないで下さい」  「いきなりこんな事を言われても戸惑うでしょうが、訳あって今、嘘がつけなくなってしまって、自分に嘘がつけずに来てしまいました」  「本当は今すぐ押し倒したいくらいなんですが、嫌われるのはもっと嫌なので大丈夫です。ただ少しでも甘い顔を見せたとたん襲いかかるかもしれませんので気をつけてください」  「嫌なら嫌って言ってくれれば今すぐにでも逃げ去ります。死ぬ勇気なんてないから2~3日泣きながら妬け食いすればおさまりますから忘れてください」  息が苦しくなって言葉が止まった時  あなたは少しあきれたような顔で呟いた。  「とりあえず中に入って。お茶でも飲みながら続き聞くから。あ、襲うのは無しの方向で」  その日は夜通し  どれだけあなたがを好きか語った。  どうやら状況を飲み込めたあなたは  優しい笑顔で話を聞いていた。  私にはそれが  何より嬉しかった。
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