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気持ちの共鳴
私が気に入った歌や物は必ず流行る。
私がしたいと思った事は皆したくなる。
私が気に入らない奴は必ず嫌われる。
しかもそれはじんわりと浸透する。
この力さえあれば私は支配者でいられる。
それなのにある時、私に意見する奴が現れた。
『なんでその人徳を正しい事だけに使わないの?皆を良い方向に導く事もできるのに』
この力に目覚めてから面と向かって意見されたのは初めてだ。正論だけにムカついた。
色々な事をやった。
かなり酷い事もした。
でもそいつは
いつも強く
いつも正しく
いつも優しかった。
そいつは私には無い強さを持っている。
もし、この力をそいつが持っていたら
皆が正しく
皆が優しく
皆が幸せになるだろう。
自己嫌悪に襲われながら
惹かれていった。
精神面が案外脆い私は
あっさり耐えきれず
そいつにだけ全てを白状した。
嫌われるのは仕方ない
軽蔑されるのも仕方ない
欲を言えば
見捨てないで欲しい。
また叱って欲しい。
『その話が本当なら、人前で私の事を考えないでくれるか?』
言葉の刃が心臓を貫く。
泣きそうだ。
これが力を悪用した罰か。
『おかしいとは思ってたんだ…』
目の前に置かれる…紙の束…手紙?
『最近怖いくらいモテるんだよ』
ラ…ラブレターっ!!
『とりあえず世界の平和のために善人に教育してあげるから覚悟するように』
その言葉に
我慢していた涙が
嬉しくて溢れ出た。
でも
こんなに好きな気持ちを
どうやったって抑えられるわけないじゃないか!!
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