相性スカウター

1/1
前へ
/12ページ
次へ

相性スカウター

 世界は広い。  人間は多い。  今この時代を生きている  何千万という数の  恋愛対象者。  でも一生で知り合える人数なんてごくわずか。  お互いを知る機会がある人なんてごくごくわずか。  両想いになるのはごくごくごくごくごくわずか。  でも私には見える。  その人との相性が。  決め撃ちすれば確率はグーンと上がるはず。  通りを行き交う人を眺める。  頭に浮かぶ数字の羅列。  3%…6%…11%…  12%…26%!?  これは高い!!  『誰かと待ち合わせしてんの?』  知り合いだった畜生め。  悪いけど恋愛対象外。  『…いや、ただの人間観察』  『…なんだそりゃ』  こらこら勝手に隣に座るな。  そのまま他愛ない話をしながら人の群れを眺める。  今日の最高記録は26%。  お隣さんだ。  今日も収穫無しでゆっくり腰を上げる。  『…帰るの?』  『…う…ん?』  あれ?  こいつの数字が…  28%に上がってる。  『帰ろうと思ったけど…帰っても暇だから…そっちも暇ならどっか行ってもいいよ…』  そう言った瞬間  あからさまに喜ぶ顔が   ちょっと可愛かった。  そう思ったら数字が29%に上がる。  どうやら相性は…  結構上がるみたい。  それから少し方針を変えてみた。  探すより育てる方に。  そしてこの数字が50%を越えたら…。  こいつに告白でもしてみるか。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加