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犬はするりと サキコ をすり抜けた。
ウォン、
ウォン、
鳴き声は サキコ を包み、すり抜けていく。
犬の行く先を見るとひとりの 男 が立っていた。
がたいが良いとは言いづらいがひょろひょろとも言いづらい。
あざやかな黄色のビニールレインコートを着て、茶色のブーツをはいている。そんな 男 だ。
犬はレインコートの 男 のまわりを一周したと思うと、男の横にすわって サキコ を"見た"。
サキコ は、どうしていいかわからず、まばたきをすると目をおよがせた。
ウォン、
犬は一鳴きした。
さきこ は犬を見た。
犬は 男 を見た。
男 は、 サキコ を見て深くうなづくと、白にとけるように、犬と一緒にきえて無くなってしまった。
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