佐藤 真(サトウ マコト)①

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    期末テストのお陰でご無沙汰だったカラオケには、男女合わせて七、八人くらいが来た。 アキラと一緒に流行りの歌を歌いながら次の曲を考えていると、視線の先には曲本に目を通す紺野あずさが居た。 女の子らしい華奢な体つきと肩まで切り揃えられたツヤのある黒髪、そして男子にはない透き通るような色白の肌。 変に着飾らない紺野には、伏し目がちになった瞳も相まって、日本人らしい凛とした涼しさがあった。 こんな薄暗いカラオケボックスの中でさえも目立つのだから、晴れた陽の下ではさぞ人目を引くことだろう。 それでいて男女とも分け隔てなく仲良く出来るので、誰からも頼られ、好かれる。 誰からも好かれるという点では、ある意味俺と紺野は似ていると思う。 ただ、自然体でそうである紺野に対し、人の目を気にしながら行動する自分の、なんと卑屈なことか。 こんなことをボンヤリ考えながら、カラオケボックスを後にした。  
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