佐藤 真(サトウ マコト)①

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    クーラーの効いたファミレスを出ると辺りは薄暗く、肺に夏特有の生温い空気が流れ込んできた。 湿気を吸ったYシャツはすぐ柔らかくなり、早く乾かせと言っているみたいだ。 「この時間になると、暑さもちょっとはマシだよね」 と、紺野は伸びをしながら言う。それをきっかけに女子の会話に花が咲いた。 「昼は地獄だよね。てゆうか学校にも早くクーラー入れろっての」 「先生だけズルいよね。そのくせスカートの丈がどうとかボタンがどうとか……」 「ねー。保健室はまあ分かるけどさ、職員室や校長室にもあるのって大人としてさー」 「あー、やっぱりタバコの匂い染み付いちゃった……。今日の部屋は外れだったなぁ」 「タバコの匂いって壁紙やカーテンに染み付いちゃうと取れないらしいよ。あたしん家もお父さんがさぁ……」 もはや井戸端会議の場となった駐輪場の片隅に、俺とアキラは取り残されていた。 「……マコトや」 お互いに女子たちを冷めた目で見ながら、アキラに呼ばれる。 「……なんよ」 「……帰るか」 「……よっしゃ」  
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