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女子たちはもう少し話していくらしく、アキラとは途中まで道が一緒なので、そこまで二人で大通りを歩いていく。
既に夕闇の名残は消え、街の喧騒は宵の顔を覗かせていた。
「分からん! 全く女って生き物は分からんよなぁマコト!」
まるで演説家のような手振りで、アキラは自身の主張を訴えた。
「あぁ、そうだな」
女子に圧倒された俺は、どことなく投げ遣りに返事をする。
「これでマコトが女嫌いになったら、あいつら責任重大だなぁ。……あ、でも何で告白されても付き合わなかったんよ」
アキラが質問したその時、大型トラックが街灯の光を遮りながら横を通り抜けた。
風圧に前髪が揺れ、トラックの陰が俺の姿を黒く塗り潰した。
「……俺なんかと付き合っても、失望するだけから」
無意識のうちに口を突いた言葉に、息を飲んだ。
やってしまった。
「ふぅん、マコトにしちゃ珍しくネガティブなこと言うのな。……あ、もしかして思春期? いやぁマコトくんにもついにねぇー」
そんな俺の変化に気付かない、思った以上に単純なアキラに安堵しつつ憎まれ口を返す。
「ちげぇよ。i-Pod割んぞ」
そうする内に俺は住宅街へ、アキラは繁華街から少し離れたマンションへと歩きだす。
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