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メールを確認し携帯を閉じようとした所で、狙いすましたかのように電話が鳴った。
『もしもしマコトぉ? 俺のメール見た?』
やはりというか何というか、アキラだった。
「アキラ……あの長ったらしいのを三行に要約してみ」
『えぇー……あー……。
その一、夏休みまで暇だから遊ぼう。
その二、何もアイデア無いから募集中。
その三、テーマは『青春』でよろしく』
「……大変よく出来ました」
『じゃあ何か奢ってくれ』
「うるせぇ。てゆうかあのメールは何よ? 俺以外にも何人かに送信してたみたいだけど」
『いや、だから遊ぼうメールだよ。今日カラオケに行った奴らと、他にも何人かに送っといた』
そう言うとアキラは、知っている名前を何人か挙げていった。
『でさ、マコトは何か無いの? これぞ青春ッ! みたいなものは』
「んー……いきなり聞かれてもすぐには出てこねーわ。一応考えておくけど、あんま期待すんなよな」
『分かった、楽しみにしてる。じゃあ思いついたらメールくれ。ほんじゃなー』
そう言うとアキラは、こっちの返事を待たずに電話を切ってしまった。
あのメールといい、この電話といい、やはり普段とは違う何かしらの気遣いを感じてしまう。
隠そうとしても隠しきれない、素直なアキラらしい。
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