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俺は六畳ほどある自室で、ベッドに仰向けになりながらアキラについて考えていた。
天井と壁紙、それとクローゼットは白で統一し、他の家具類は黒や茶色でまとめられており、この色合いが、部屋の無機質さを演出している。
そんな昔の映写機みたいな色の部屋で、同じく自分の記憶も再生してみる。
アキラとの出会いは、どんなものだったかは覚えていない。
何か大きな事件があったわけでもなく、気が付いたら一緒に行動していた。
あいつが何を思って俺なんかと居るのかは分からないし、あえてそれを聞くタイミングも今まで無かった。
──いや、本当は聞く勇気が無かった。
だったら、今がそのタイミングなのかもしれない。
もしも今きっかけを作らなかったら、俺は一生このままなのか。
他人の目を気にして、友人にすら心を開けない人間の将来とは、一体どれほど空虚なものなのだろう。
考えすぎかもしれないけれど、この背中がチリチリする感覚がどうしても拭えなかった。
──このままではまずい。
ふと、自分は今、人生の大きな岐路に立たされているような気分になった。
幾つかの道が伸びてはいるが、先は霞んで見えない。
ただ、もしも選択の余地があるのなら、自分が望む未来がどんなものなのかは……何となく分かった。
──聞こう、そして言おう。
──せめて、アキラだけには──…。
[To]小川 晶
[Subject]Re:招待状
>学校、サボりたい
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