紺野 あずさ(コンノ アズサ)①

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          閉めきったカーテン。 薄明かりの向こうから、セミの合唱が聞こえる。 ──もう朝か。……のど乾いたなぁ。 布団の中でボンヤリしながら、つけっぱなしだったエアコンを見る。 目覚まし時計に視線をやると、セットした時刻の五分前だった。 ──じゃあ、このままあと五分だけ……。 布団の外側にあるシーツや枕が、起き抜けの体温にはヒンヤリして心地良い。 でもずっとそこに手足を置いていたら、頭より先に体が目覚めてしまうので、まどろみを楽しむために元の温かい位置に引っ込める。 しばらく布団の内と外、ぬくぬくとヒンヤリの間を行き来して楽しんでいると、一階から誰かが上がってくる音がした。 「あずさぁー? 起きなさーい」 ──あと三十秒くらいあるんだけどなぁ……。 仕方なく上半身だけを起こし、目覚まし時計をポンと撫でて、ただの置き時計に戻してやる。 名残惜しげにベッドから降りた私は窓辺に歩み寄り、一気にカーテンを開いた。 薄暗かった部屋に、光が射し込む。 壁に掛かったカレンダーにも、 使い古しの勉強机にも、 くたびれたヌイグルミにも、 お気に入りのキーホルダーにも、 そして、私自身にも。 今日も、朝がやってきた。      
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