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「──でさ、どうするよ?」
麺がふやけたショックから立ち直った小川君が、声を潜めながら言った。
さっき聞いたのだが、佐藤君の『青春』は──彼のことだから、私はてっきりクラス中を巻き込んで何かするのではないか、と思っていたが──『学校をサボる』事らしい。
一方、企画者である小川君は『秘密』の一点張りで、私達には教えてくれなかった。
「どうするって……何がだよ、アキラ」
「だから俺ら三人の『青春』計画についてだよ。星空はともかく、学校サボんのは紺野にゃキツイっしょ」
「えぇ、私? んー……ちょっと難しいかもしれないね」
小川君が少し困った笑みを浮かべながら私を見たので、同じく私も少し困った笑みを浮かべながら答えた。
「ああ、そっかぁ。確かに学校サボるってのは、優等生の紺野らしくないもんなぁ」
「えっ」
佐藤君が何気なく言葉を放ったその瞬間、心の何処かが急速に乾いていくのを感じた。
──ああ、やっぱり今朝の顔は見間違いなんかじゃなかったんだ。
だって、もしも今、目の前に鏡があるのならば、
私の顔はきっと──…。
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