紺野 あずさ(コンノ アズサ)①

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    「──でさ、どうするよ?」 麺がふやけたショックから立ち直った小川君が、声を潜めながら言った。 さっき聞いたのだが、佐藤君の『青春』は──彼のことだから、私はてっきりクラス中を巻き込んで何かするのではないか、と思っていたが──『学校をサボる』事らしい。 一方、企画者である小川君は『秘密』の一点張りで、私達には教えてくれなかった。 「どうするって……何がだよ、アキラ」 「だから俺ら三人の『青春』計画についてだよ。星空はともかく、学校サボんのは紺野にゃキツイっしょ」 「えぇ、私? んー……ちょっと難しいかもしれないね」 小川君が少し困った笑みを浮かべながら私を見たので、同じく私も少し困った笑みを浮かべながら答えた。 「ああ、そっかぁ。確かに学校サボるってのは、優等生の紺野らしくないもんなぁ」 「えっ」 佐藤君が何気なく言葉を放ったその瞬間、心の何処かが急速に乾いていくのを感じた。 ──ああ、やっぱり今朝の顔は見間違いなんかじゃなかったんだ。 だって、もしも今、目の前に鏡があるのならば、 私の顔はきっと──…。      
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