紺野 あずさ(コンノ アズサ)②

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    中一の春、小学校を卒業すると同時にこっちへ転校してきた私は、影で「根暗のガリ勉」と呼ばれていた。 友達は少なかった。 ちょっとしてテニス部に入ってからは「真面目だね」と言われた。 自分から積極的に話し掛け、クラスにも友達ができた。 その夏、眼鏡をコンタクトレンズに替えて縮毛をかけたら「可愛くて頭も良いなんて羨ましい」と言われた。 中二の冬、部長と生徒会長に推薦された。 「真面目で友人に対する思いやりもあり、男女から人気があるから」とのことだった。 中三になった。 この頃には既にクラスの中心になっており、根暗のガリ勉だった私はもう誰の記憶にも残ってはいなかった。 もちろん、それを言った本人でさえ。 体育祭で優勝し、合唱コンクールでは最優秀賞、引退試合は県大会二位。 県内トップの公立校に合格し、卒業式では総代として答辞を述べた。 誰もが羨む、夢のような一年間。 でも、皆が抱き合い涙する場面で私一人だけが泣いていなかった。 私は、自分のことが嫌いだった。    
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