薺華(せいか)

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薺 花言葉 全てを貴方に捧げる 1月17日の花 今日、つまり薺華が産まれたのは、1月17日の朝早く。  忍は自分の死を知っていたのだ。いつ来るかを知っていたのだ。確か薺華がいいとか言い出したのは16日。つまり、あの、医者にどちらかは死ぬといわれた日のことだった。あの時忍はわかっていたのだろう。お腹の子が出て来る準備が出来たと。……明日、全てが終わるんだと。 「お薬、足りないなあ、忍。わかってて、全部わかっててやったんだなあ。……おまえはやっぱり凄いよ」 涙が止まらなかった。最期まで俺のことを考え、死んでいった忍。辛かったろうに、きっと怖かったろうに。最期まで…… 「薺華。いい名前だな、忍。なずなって地味だなとか言ってごめんな。すごい、いいよ」 「一弥、飲もうか」 「はい、しっかり飲み明かしましょう」 俺と、先輩と、その間に置いたビールをなみなみと次いだコップ。俺は彼女からの、最後の贈り物を見守りながら、三人で酒を交わした。 愛の絆として最期に残した、その時を、夢を、命を捧げた子供を。 「俺、あいつが大きくなったら名前の由来、教えます。きっと名前を誇りに思ってくれる。漢字めんどくさいよ、なんていいながら」 「そうだね、そうしよう。それでたっぷり忍のこと教えてあげようね」 「忍、見てるよな、ありがとう」
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