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空高くに月の輝く夜。 水面に浮かぶ月を見ながら、火を囲み、杯を交わす四人の男達。 すぐ横に流れる川。その流れる音も聞こえるような、静けさ。しかしその内には火のように熱い志。 「本当に行くのか、明日」 一人の男が、器を置き、正面、上座に座る男にきいた。山中の、少し開けたところ。彼等の少し遠巻きに、数多のキャンプが設営されている。皆寝静まり、やがて来る朝に備えている。 「当然だ。我らが祖国。祖先達の築いたあの国を、なんとしても取り戻す。そのためには、俺は命も惜しまん」 月を背に抱え、その強い意志を語る。視線は相対する男へ。その鋭く整った目は、言葉以上に、その強さを表す。 「わかった。では私、ウィルもこの命を捧げよう。我が祖国に。そして何より、我が友、ルークに」 男、ルークは、その口許を少し緩め、頷いた。ウィルも同じように返す。ウィルとルークは酒を互いに注ぎ、飲み干した。
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