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最後まで沈黙を保っていた男。彼もまた静かに話し出す。 「私はルーク様に拾われ、ルーク様に育てられてきました。この命、常にルーク様と共に」 脇に置いた剣の柄に手をそえる。ルークはその姿を見て、静かに頷いた。 立ち上がり、その両手を広げ、空を仰ぐ。 「明日、全てが終わる。さあ、私の友人達。明日の勝利を祝い、楽しもうではないか」 王、ルークが宣言する。三人は頷き、杯を掲げた。 「我らの勝利に!」 再びの宴会。ルークは付き人の女を呼ぶ。 「すまぬが、我らのために舞を舞ってくれるか」 女は頷き、川の浅瀬へ入っていく。月の映るさらに向こう。女は立ち止まり、男達の見守る中、恭しく礼をした。 赤い布を巻き付けた衣装。その両手で、一枚の薄い、やはり赤い布を持ち、水面を跳ねるように踊り始める。女の後を布が舞う。月を背に、回りながら自由に舞い続ける。艶やかに。その姿は、水面を舞う炎にも似た、力強くも美しい、不死鳥を思わせる。 「さあ、飽くまで飲もうではないか」 月の美しい静かな夜。 男達の宴はいつまでも続いた――image=79481837.jpg
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