2人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
最後まで沈黙を保っていた男。彼もまた静かに話し出す。
「私はルーク様に拾われ、ルーク様に育てられてきました。この命、常にルーク様と共に」
脇に置いた剣の柄に手をそえる。ルークはその姿を見て、静かに頷いた。
立ち上がり、その両手を広げ、空を仰ぐ。
「明日、全てが終わる。さあ、私の友人達。明日の勝利を祝い、楽しもうではないか」
王、ルークが宣言する。三人は頷き、杯を掲げた。
「我らの勝利に!」
再びの宴会。ルークは付き人の女を呼ぶ。
「すまぬが、我らのために舞を舞ってくれるか」
女は頷き、川の浅瀬へ入っていく。月の映るさらに向こう。女は立ち止まり、男達の見守る中、恭しく礼をした。
赤い布を巻き付けた衣装。その両手で、一枚の薄い、やはり赤い布を持ち、水面を跳ねるように踊り始める。女の後を布が舞う。月を背に、回りながら自由に舞い続ける。艶やかに。その姿は、水面を舞う炎にも似た、力強くも美しい、不死鳥を思わせる。
「さあ、飽くまで飲もうではないか」
月の美しい静かな夜。
男達の宴はいつまでも続いた――![image=79481837.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/79481837.jpg?width=800&format=jpg)
![image=79481837.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/79481837.jpg?width=800&format=jpg)
最初のコメントを投稿しよう!