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家を飛び出し、階段を駆け降り、自転車に跨がり、全速力でペダルを漕ぐ。寝る時のジャージのまま?構わない。鍵をかけてない?大いに結構。ただひたすらに病院を目指した。
ようやくたどり着くと、入口付近に自転車を乗り捨てて中へ駆け込む。急ぎ手術室ヘ向かうと、既に手術中のランプが点いていた。入ろうとする看護婦に声をかける。
「柊一弥、柊忍の夫です、付き添いは?」
「申し訳ありませんが、奥様の場合何が起こるかわかりませんので、外でお待ちください」
「そんな……」
廊下に崩れるようにへたりこんだ。最後の最後に声もかけられないのか……?いや、最後じゃない。そう信じよう。
「死ぬな、忍!頑張れ!」
夜、他の患者は寝ているであろう時間。だが叫ばずにはいられなかった。俺は力のかぎり叫んだ。今できることは全てやろう。後悔なんて残したら駄目だ。
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